東亜建設工業

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様々な課題を
解決しながら、
特殊な建築物に
全員で挑む。

INTRODUCTION
埼玉県の中で、さいたま市に次ぐ人口を有する川口市。2018年4月、この都市に新しい火葬場「川口市めぐりの森」が開設された。敷地内にあるたくさんの植栽や、大きな池。訪れる人に「やすらぎ」をも感じさせるこの施設は、赤山の自然との調和をテーマに世界的な建築家である伊東豊雄氏が設計を手がけ、優れた意匠性と機能性を持たせた注目の建築物である。誰も手がけたことがないようなその特殊な構造に頭を悩ませ、地元建設企業とも協力しながら造り上げたこの建物の完成秘話を工事に関わった3名に聞いた。
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Kawaguchishi-megurinomori
Construction Project

自分のプライドを架ける

「川口市めぐりの森」の建築工事がはじまったのは、2015年の年末。東亜建設工業と地元建設企業で組織されたJVにより着工された。建築面積:5,589.87m2、延床面積:7,885.97m2の極めて特殊な形状の建築物を、わずか2年で完成させることを目指したのだ。通常、建築現場の工期は、建物種類、形状、建築面積、延床面積、敷地などの条件を加味しながら、基準になる一人あたりの1日の作業量(歩掛)で算出される。だが、今回の建物は、壁は弓がかっており、屋根は自由曲面という特殊形状の上、火葬炉も設置しなければならない。「特殊形状のため、工程をイメージすることが難しく、最初の頃は不安を感じていましたね。いざ、着工となっても、元々、沼地で地盤が緩いこともあって、地盤改良と基礎工事で1年弱もの期間を要しましたから。ただ、その1年の間に上屋の曲面の施工方法や火葬炉機の搬入工程を検討・変更したり、協力業者とは何度も打ち合わせを重ねたことで、これは工期通りに進むという確信を持つようになりました。」と語るのは、作業所長を務めた有泉。「技術者として腕の見せ所だなと思い、気合いが入りましたね。こういう特殊な建物の時は経験したことがない事象が、いくつも出てきますから(笑)。それは、他の協力業者さんも同じだったと思います」。工事に関わるすべての人の一生懸命さ、なんとしてでも建ててやろうという気持ちを感じられた工事だったと振り返った。この建物には、それぞれの職人のプライドが詰まっているのだ。とはいえ、はじめに設計図を見た時は、不安もよぎったという。

「今までに経験のない特殊形状をどのように施工していくか。このプロジェクトを本当に成し遂げることが出来るのかと、弱気に思うこともありました。しかしながら、ここに集まったのはプロフェッショナル。みんなの協力のおかげで、無事に竣工することができたと思います」。このプロジェクトは、それぞれのプロたちが自分の腕とプライドをかけ、挑んだ工事だった。

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Kawaguchishi-megurinomori
Construction Project

いくつもの新しい経験を蓄積する

今回の工事の最も大きなポイントは、特殊形状(自由曲面)の屋根であるRC造の躯体構築だったと全員が口をそろえる。RC造は、主に柱や梁、床・壁が鉄筋とコンクリートで構成されている構造建物のことだ。コンクリートを流し込むためには型枠が必要だが、その型枠は木でつくられる。通常であれば平らな型枠を用意するが、曲面の型枠が必要だった。「この建物は特殊形状ですから曲面の型枠が必要でした。現場で製作することはできなかったので、経験豊富な協力業者を探しました。3Dで図を起こして枠を木から切り出すのですが、その成形には苦労しました」と小島は苦笑いをする。一般的な建物であれば、柱は同じ形であることが多い。そのため、型枠はコストや人件費の削減のためにも、同じものを再利用することが鉄則だ。しかし、「川口市めぐりの森」の28本の柱は、自由曲面に合わせてすべて形が違う。1本1本を3D化し、型枠を加工して現場で別々の型枠を組み立てる必要があった。それを実現できるかどうかは、現場の技術力にかかっていたのだ。実大模型を使った施工実験を繰り返したことが、成功に導くための鍵となった。しかし、その安全性には苦慮したと加茂は話す。「型枠を設置している時は、作業全体が不安定な状況になるので、安全面について細心の注意を払いました。型枠が無事に外れた時は、ほっとしたことを覚えています」と小島が言うように、これまでに経験したことのない曲面の構築は、安全面や品質を考えてもこの工事の肝だったといえる。

また、様々な特殊な設備に関しても、考えることが多かった。例えばこの建物には目に見える空調設備というのがない。床下にパイプを通し、夏には冷水、冬には温水を通す工夫をして快適な空間を演出した。その他にも、塗装や天井の仕様など、新しい取り組みが目白押しだったという。その分仕事量も増えるが、知識も経験も増える。いくつもの新しいノウハウが、東亜建設工業に蓄えられていった。

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Kawaguchishi-megurinomori
Construction Project

答えはひとつではない。

「このプロジェクトをやり遂げたことで自信がつきましたし、自分の中に新しい考え方も生まれたと思います」と有泉は語る。設計図通りに工事を進めてはいくものの、現場では思った通りに事が進まないことは多い。難題がまるで意思を持った生き物のように立ちはだかる時もある。時間の経過とともに、新しい施工方法も数多く出てくる。臨機応変という言葉では追いつかないほど、多岐にわたる解決方法を検討しなければならないのだ。ただそれは言い換えると、答えがひとつではないと言うこと。安全に行うためにはどうすればいいか、作業員の負担ができるだけ軽くなる方法はないか、どうすればコストを抑えながらも早く施工することができるか。そういったことを全員で考えながら進めていくことが大切だ。「例えば設計図を見た時に難しいなと直感的に感じても、難しいだけであってできないことはないんです。挑戦することで道が拓ける。そういう意識を全員が共有できていたのかなと感じています。」と加茂は笑顔を見せた。ここで得た経験がいずれ、どこかの現場できっと役に立つ時がくる。そうやって、成長を刻んでいくのである。また、小島は「現場はそれぞれ条件も違うし、建てる場所も違う。同じ建物は、この世に存在しません」と話した。それこそ現場の醍醐味であるし、一番のやりがい。そして、忘れてはならないのがチームワークだ。当然、自分たちの技術だけでは、解決できないことも出てくる。目の前に問題が現れた時、より多くの目がその解決方法を導き出してくれる。しかし、そのためには全員が同じ方向を向いていることが必要だ。今回のプロジェクトに関していえば、伊東事務所の設計担当者も現場に常駐し、また、新しい協力会社との関わりもできた。そうやって、社内外問わずスムーズなコミュニケーションを取り、すばらしい建築物を造り上げることこそが、私たちの仕事。誰もがそのことを胸に刻みながら、今日も建物と向き合い続けている。次に生まれる建物は、どんな経験を積ませてくれるのだろうか。

PROJECT MEMBERS

加茂 幸治
KOJI
KAMO
1992年入社
有泉 弘樹
ARIIZUMI
HIROKI
1989年入社
小島 大輔
KOJIMA
DAISUKE
1996年入社

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